困りごと・悩みごと 知りたいことQ&A

テーマ: 診断

  • Q. 認知症と診断されましたが、私たち家族にはそう思えません。

    A. 診断した医師に家族の気持ちを伝え、別の専門の医療機関を紹介してもらって診断を受けましょう(これをセカンドオピニオンといいます)。紹介先は、自分で探したほうが気持ちがすっきりするでしょう。
  • Q. 認知症を診断してくれる病院やお医者さんはどうやって探せばいいですか?

    A. 認知症の診断には、3つの要素が必要です。①経験のある医師、②画像検査などの機械設備、③神経心理学的な検査をする技術をもった心理士です。もっとも重要なのは、①の認知症や鑑別すべき類縁の病気について知識があり、経験の深い医師です。老年精神医学会(老年精神医学専門医)、認知症学会(認知症専門医)はそれぞれ専門医制度をもっていて、老年精神医学会の場合は、学会のホームページから老年精神医学専門医の名前、診療している医療機関、診療時間などが検索できます。ここから、近所で診療している専門医を探し、その所属先の病院のホームページに移れば、CT、MRI、SPECTなどの検査機器の有無についても情報が得られます。メモリークリニックなど、認知症専門外来を開いている病院であれば、さらに検査する心理士の有無についても知ることができます。一般的にいえば、初期の診断には、ある程度、機械のそろった病院のほうが有利ですが、検査機械はほとんどなくても、近隣の病院と連携してい優れた認知症医療を行っている医師はいるので、地域の家族会や地域包括支援センターなどを通じて情報を集めることも重要です。
  • Q. 治療可能な認知症とはどういうものですか?

    A. 元々、認知症というのは、脳に器質的な障害が起こり、いったん発達した精神機能が広汎に非可逆的に障害された状態を指す医学用語でした。それが、1990年代に「treatable dementia」、つまり「治療可能な認知症」という概念が提唱され、必ずしも非可逆的な変化ではなくても認知症という言葉を使うようになりました。治療可能な認知症を引き起こす基礎疾患としては、①正常圧水頭症、②脳腫瘍、③硬膜下血腫、④甲状腺機能低下症、⑤低血糖、⑥慢性腎不全、⑦ビタミンの欠乏、⑧脱水、⑨アルコール症、⑩向精神薬・降圧剤・風邪薬・胃腸薬などの薬剤の不適切な使用、などがあげられます。
  • Q. 認知症を自己診断する方法はありますか?

    A. 自己診断用のチェックリストと称するものがあります。ただし、こうしたチェックリストは診断用のものではありません。自分の老化度をチェックするくらいの気持ちで使用するならかまいませんが、本当に認知症が心配なときは、専門医に相談することが唯一の解決方法です。こうした自己診断用チェックリストを仲間内でやってみるといったことは絶対にお勧めしません。万一、認知症が疑われるような成績をとる人がいた場合にその人を深く傷つけることになります。
  • Q. 認知症を早期発見することにはどんなメリットがありますか?

    A. 第1に、認知症のような症状を呈するものの、適切な時期に適切な治療をすれば治る病気が少なくないことです。こうした病気(治療可能な認知症)も時機を逸すると回復不能になります。第2には、早期に診断がつけば、ご本人が自分で病気のことを理解することができ、医師との信頼関係を結ぶことが可能になります。こうすることで、不安が和らぎ、進行した後のトラブルを減らすことができます。第3に、症状が軽いうちに将来の予測ができれば、成年後見制度などを利用して、将来の自分の介護の方針を決めておくことができることでしょう。
  • Q. ハンチントン病とはどういう病気ですか?

    A. ハンチントン病は、常染色体性優性遺伝をする病気で、壮年期から初老期に発症します。両親のうちいずれかがハンチントン病であれば、その子どもは50%の確率でハンチントン病を発症します。ハンチントン病は精神分裂病のような症状で発症することも多く、易怒的、攻撃的になり、犯罪行為に至る例もあります。認知症症状は遅れて顕在化するために、当初、統合失調症と誤診されることも稀ではありません。かつては、ハンチントン舞踏病と呼ばれていたことからも分かるとおり、踊っているような特異な不随意運動を伴いますが、終末期には無言、無動状態に陥ります。最後まで認知症症状を呈さない例もあります。
  • Q. 甲状腺機能低下症とはどういう病気ですか?

    A. 甲状腺ホルモンが不足すると、便秘、食欲低下、耐寒能力の低下や発汗の減少、体重増加、低血圧、徐脈、易疲労感、皮膚の乾燥や無欲様顔貌など、広汎な症状が起こります。これに伴って、精神活動の遅延化、注意の欠陥、知的な機能の低下などが起こることがあります。高齢者の場合、認知症の始まりやうつ病と間違えられることがしばしばあります。甲状腺機能は一般的な血液検査で簡単に診断でき、診断がつけば治療ができます。適切な時期に治療ができれば、甲状腺機能低下による認知症症状は回復可能です。甲状腺機能低下症による認知症は、「治療可能な認知症」の代表的な疾患の1つです。
  • Q. 認知症を引き起こす病気にはどのようなものがありますか?

    A. 以下のような分類により、さまざまな原因があります。 [変性疾患]アルツハイマー病、前頭側頭変性症、レビー小体病、ハンチントン病、パーキンソン病など脳の細胞が死んでいく病気 [血管性認知症]脳梗塞、脳出血、動脈硬化などが原因で、脳の細胞に栄養や酸素がいきわたらず、その結果脳の神経細胞が死んでしまう病気 [感染症]梅毒、エイズ、クロイツフェルド・ヤコブ病など [その他]アルコールその他の物質乱用、頭部外傷
  • Q. うつ病性仮性認知症とはどういうものですか?

    A. 老年期に起こるうつ病には、抑うつ気分に続いて、認知症症状が出現することがあります。本当の認知症に比較して、進行が急速である、本人の訴えが強く、分からなくなった、できなくなったというような悲観的な発言が続くといった特徴があります。困難なことは避けようとし、自ら能力の低下を強調するような様子が見えることもあります。心理検査の結果は、「わかりません」「できません」を連発するために、日常生活の能力からはかけ離れて低い成績になることも珍しくありません。うつ病の改善とともに認知症の症状も徐々に改善しますが、うつ病の快復後、数年の経過で本当の認知症になるリスクが一般の高齢者より高いことが知られています。
  • Q. パーキンソン病とはどういう病気ですか?

    A. 中脳黒質という場所の細胞が脱落することによって起こる病気です。手の震え、筋肉の強剛、突進歩行、仮面用顔貌などの神経症状が出現し、徐々に進行していきます。抑うつ症状による精神活動の低下や精神機能の遅延化などが現れますが、抗パーキンソン病薬によって改善が見られます。しかし、進行すると、10〜60%で認知症症状が非可逆的になり、パーキンソン病による認知症と診断されるようになります。レビー小体型認知症と関連が深く、特に幻視などの幻覚や妄想を早い時期から合併する時は、レビー小体型認知症を疑う必要があります。なお、脳血管障害などが原因でパーキンソン病と同じ症状が出現することも多く、これをパーキンソン症候群と呼んで区別します。
  • Q. 慢性硬膜下血腫とはどういう病気ですか?

    A. 脳は、外側から硬膜、くも膜、軟膜と呼ばれる3層の膜に包まれています。転倒などによって頭を打った時、本来、ほとんど隙間のない硬膜とくも膜の間にゆっくりと出血が起こることがあります。それが、徐々に大きくなって、脳を圧迫するようになると、意識障害、麻痺、認知機能の低下などの臨床症状が起こってきます。これが慢性硬膜下血腫です。発症が、頭部打撲後、2〜3か月を経過していることもあります。脳の中に血腫ができているわけではないので、比較的簡単な手術で血腫を除去することができ、適切な時期に手術が行われれば症状は消えます。アルツハイマー病などで脳の萎縮が進んでいる場合、頭蓋内に空間が大きく、血腫ができても臨床症状が起こらないこともあり、この場合は経過を見ます。CTで簡単に診断できます。
  • Q. レビー小体型認知症とはどういう病気ですか?

    A. 1976年以降、日本の小阪憲司博士らの報告によって注目され、1995年に開催された国際ワークショップで知られるようになった病気です。40歳前後から発症します。主要な症状として、①進行性の認知機能障害(その過程では注意の障害や意識水準の動揺などによって認知機能そのものも動揺しやすい)、②リアルな幻視、③特発性のパーキンソン症状があげられます。この他、抗精神病薬で副作用が出やすいこと、夜間に夢でうなされる、しばしば転倒する、一過性の意識障害、妄想などが見られれば診断の補強になります。パーキンソン病と類縁の疾患です。
  • Q. 進行性核上性麻痺とはどういう病気ですか?

    A. 40歳から70歳代まで広い年代で発症する病気です。垂直方向の眼球運動麻痺(進行すると左右運動も障害される)、頸部の後屈をともなう筋緊張の亢進、構音障害や嚥下障害、認知症症状などを主症状とします。垂直眼球運動障害により、足下にある物に気づかず転倒したり、頭上の障害に頭をぶつけたりする、人格変化(意欲減退、無関心、不注意、多幸的、深みを欠くなど)が起こる、実行機能障害などの認知機能障害が起こる、などの症状で発症します。進行すると、全身の筋肉が固縮し筋緊張が高まり寝たきりになり、構音障害は重度になり、嚥下障害も悪化して無言無動状態に陥ります。
  • Q. クロイツフェルト・ヤコブ病とはどういう病気ですか?

    A. プリオンと呼ばれる、核酸を持たない特異なタンパクを介して伝染すると考えられていますが、感染経路を確認できない孤発例や遺伝子が関連する家族性のクロイツフェルド・ヤコブ病もあります。羊のスクレイピーや、牛の狂牛病と同様に、脳に海綿状の変化が起こるために、これらの病気を総称して伝染性海綿状脳症と呼びます。感染性は弱く、日常的なケアで伝染することはありません。60歳代を中心に中年期から高齢期まで発症しますが、牛の狂牛病との異同が問題になっている新型のクロイツフェルド・ヤコブ病は20歳代でも発症すると言われています。認知機能の障害は記憶障害などで発症します。急速に進行して、やがて運動機能も障害され、寝たきりになって死亡します。
  • Q. ピック病とはどういう病気ですか?

    A. 1982年にアーノルド・ピックという人が初めて報告した、前頭葉と側頭葉の委縮から始まる認知症です。初老期の発症が多く、無関心、無頓着、社会規範から逸脱した行為などの人格変化で発症するタイプ(前頭側頭型認知症)と、失語症という言葉の障害で発症するタイプ(語義性認知症)があります。発症当初、記憶障害は目立たないことが多く、認知症と診断される前に、社会規範からの逸脱行為によって生活が破たんしてしまうことがあります。進行すると、意欲や発動性の低下、相手を無視するような特異な対人関係、物事へのこだわりや強迫的な繰り返し、失語の進行などが見られ、寝たきりになって死に至ります(→前頭側頭葉変性症の項参照)。
  • Q. 前頭側頭葉変性症とはどういう病気ですか?

    A. 1980年代終わりから90年代までの間に発展してきた概念です。前頭側頭葉変性症は、前頭葉と側頭葉の萎縮から始まる病気の総称で、前頭側頭型認知症、進行性非流暢性失語、語義性認知症の3つに分けられます。前頭側頭型認知症は、さらに、脱抑制型、無欲型、常同型に分類されます。ピック病はこのうち、前頭側頭型認知症および語義性認知症と重なる概念です。しかしながら、前頭側頭葉変性症という概念は医学的には比較的新しいもので未だ議論の余地があるところです。ピック病の位置づけを含めて、一般の方にこうした分類は意味が薄いと思われます。
  • Q. 認知症になる原因は何ですか?

    A. 認知症は、脳の細胞を破壊する病気や外傷を原因として起こります。アルツハイマー病、前頭側頭変性症、レビー小体病など、脳細胞が何らかの原因で死んでいく病気(変性疾患)、脳の細胞を養う血流が途絶えてしまう脳梗塞や脳出血のような病気、エイズ、梅毒等、脳炎を起こすような細菌やウィルス感染症、クロイッツフェルド・ヤコブ病のように、プリオンと呼ばれる特殊なタンパク質を媒体とした感染症、脳腫瘍、アルコールや薬物の乱用、交通外傷など、その他、脳の細胞や細胞の線維を障害するあらゆる病気や外傷が認知症の原因となり得ます。
  • Q. 認知症にはさまざまな種類があるそうですが……。

    A. 認知症とは、脳の細胞が損傷されることにより、正常に発達していた精神機能が全般的に障害され、社会生活を困難にする程度まで低下した状態を言います。つまり、病名ではありません。認知症を引き起こす病気には、アルツハイマー病、レビー小体病、前頭側頭変性症、脳血管障害などさまざまな病気があります。
  • Q. アルツハイマー型認知症とはどういう病気ですか?

    A. アルツハイマー型認知症は、脳の中に特殊なタンパク質が貯まり、脳の神経細胞が死んでしまう病気です。脳の神経細胞が死んでしまうために、脳が本来の機能を果たせなくなり、認知症が起こります。何年もかけて潜在性に始まり、やがてもの忘れなどの症状が明らかになり、その後はスロープを降りるように進行していきます。記憶、思考、判断などの精神機能だけでなく、身辺自立の機能も徐々に侵され、進行すると、歩行などの身体運動機能が障害され、最終的には寝たきりになって、食物を飲み込む力がなくなり、誤嚥性肺炎を繰り返して死に至ります。
  • Q. 脳血管性認知症とはどういう病気ですか?

    A. 脳血管性認知症は、脳の血管障害の結果、栄養や酸素の供給を絶たれた脳細胞が死んでしまうことによって起こる認知症の総称です。血管障害には脳梗塞、脳出血、動脈硬化などさまざまなものがあり、血管障害が脳のどの部分に起こるかなどによっても症状が異なるため、一口に脳血管性認知症といっても症状、経過に大きなバラエティーがあります。アルツハイマー型認知症と比較して、症状の動揺が大きいこと、安定した時期を挟みながら階段状に進行する場合があること、能力障害にばらつきがあること(まだら認知症)、人格変化を伴いやすいこと、神経症状の合併が多いことなどの特徴があります。

このQ&Aは、あくまでも一般的な参考用として掲載しています。個別具体的なケースについては、専門家などの助言を受けることをお勧めします。