困りごと・悩みごと 知りたいことQ&A

テーマ: 症状

  • Q. 誰もいないのに「人がいる」とおびえたりします。どうしたらいいでしょうか?

    A. レビー小体型認知症の幻視の他、さまざまな程度のせん妄状態などが考えられます。レビー小体型認知症に特有の幻視の場合、いるはずのない人物や動物・虫などがありありと見えます。ご本人には正に現実としか思えないため、他者が「そんなのいるはずがない」「錯覚に決まっている」と言っても効果はありません。まずは、ご本人の世界を受け入れ、「悪さをしないから大丈夫」などと安心をさせることが必要です。
  • Q. 家族に対して「財布を盗んだ」と疑いをいだいています。どう対応したらいいですか?

    A. 財布を盗まれたという妄想にもいろいろなタイプがある一方、疑われている家族の心理状態や家庭状況もさまざまです。可能であれば専門医の診察を受け、その妄想がアルツハイマー病にしばしばみられる単純な「物盗られ妄想」なのか、脳血管性認知症に多い複雑な被害妄想なのか、あるいはレビー小体型認知症の幻視に基づく妄想なのかなどをしっかり診断して適切な治療をしましょう。そのうえで、個々の病態と家族の状況に合わせて対応の仕方を探してください。
  • Q. 認知症には「中核症状」と「周辺症状」とがあると聞きましたが、その違いは何ですか?

    A. 認知症の症状のうち、脳の細胞が破壊されることによって、その脳細胞が担っていた機能が失われたものを「中核症状」とよびます。たとえば、新しいことを記憶するときに必要な海馬の細胞が減少すると新しいことが記憶できなくなる、といったことです。これに対して、中核症状のために外界で起こっていることに関する理解がゆがみ、そこから生じるストレスによって生じてくるさまざまな精神症状や日常生活を困難にする行動のことを「周辺症状」とよびます。周辺症状は、中核症状の程度、本人が持っている素質、現在の環境、心理的な状況などによってさまざまです。徘徊や妄想は代表的な周辺症状です。
  • Q. 食べ物以外のものを口に入れようとします。どうしたらいいですか?

    A. 口に入れる理由には、手にしたものは何でも口に持っていってしまうような脳の障害や、食べ物とそうでないものを区別できない認知機能の低下、心理的な不満の表れなど、さまざまな理由が考えられます。いくつもの理由が重なってこうしたことが起こることもあります。いずれにしても、一般論で答えられる問題ではないので、専門医とよく相談をしてみてください。
  • Q. 外出時に転ばないためにどんな工夫が必要ですか?

    A. 本人の努力では対応できません。認知症の進行とともに足を上がらなくなるとともに小幅歩行になるため、ちょっとした段差でつまずきやすくなります。さらに、視覚的な認知機能が低下して、水たまりの大きさや小さな段差の高さなどを推測するのが難しくなることも転倒のリスクを高めます。歩行がしっかりしている時期から杖を持ってもらうなどの対応をしておけばよいかもしれません。転倒を繰り返すほど進行してから杖の使い方を覚えてもらうのは不可能です。こうなったら他の人が付いて注意する以外に方法はありません。
  • Q. 徘徊とはどんな状態のことを指しますか?

    A. 「徘徊」という言葉に、医学・看護学・介護学などの分野で厳密な定義があるわけではありません。実際、専門家の間でも、この言葉はさまざまな意味で使われています。ご家族が介護する場合、こうした言葉で類型化してしまうのではなく、目の前にある状況を普通の言葉で記載してみることが大事です。そうしてみると対応の仕方も見えてきます。
  • Q. 認知症になる前と比べて元気がないようです。どうしてあげたらいいでしょう?

    A. 認知症の始まりの頃は、うつ病と間違えられることがよくあります。これには2つの理由があります。1つは、認知症を引き起こす脳の障害が、意欲や興味・関心をそいでしまうことです。これについては、うつ病の治療や心理的な支援をしてもあまり効果はありません。もう1つの理由は、本人が認知機能の低下に気づき、何をしてもうまくいかないので元気がなくなったり、認知症を心配して抑うつ的になることです。これについては、適切な治療や心理的な支援で改善が期待できます。いずれにしても、素人判断をしないで、専門医の診察を受けることが大事です。
  • Q. おつりの計算など買い物に支障がでてきました。どうすればいいですか?

    A. 認知症が少し進むと、計算はできるのに、買い物のとき適切な硬貨や紙幣を選べなくなります。「100円玉6個と10円玉5個で650円」といった判断がとっさにできなくなるからです。このため、少額な買い物でも、1万円札などの高価な紙幣を出すようになり(こうすれば間違いないため)、少額の硬貨・紙幣がたくさん貯まってしまうということになります。ご本人の努力や工夫でこの障害を克服するのは困難です。したがって、なじみの店でだけ買い物をするようにし、相手に事情を知ってもらい、上手に対応してもらう以外対策はありません。
  • Q. 万引きをしてしまった場合、どう対応すればいいですか?

    A. 前頭側頭型認知症などの場合、病初期に万引きや痴漢などの軽犯罪で検挙されるようなことが起こります。もしも、この時点で診断がついているなら、その旨を警察や被害者に伝えて謝罪する以外にありません。本人はこうした行為が悪いことだとわかっていますから、さらりと注意するだけに留めます。病気の種類によっては別の対応が求められます。
  • Q. 人の顔を覚えられないようです。対処としてはどんな工夫がありますか?

    A. 人の顔を覚えられないというのは、記憶の問題もありますが、視覚情報を正しく認知できないためにわからなくなるということもあります。つまり、認知症の原因となっている病気の種類によって原因が異なります。専門家と相談していろいろなことを試してみてください。
  • Q. ずっと部屋に引きこもっています。どうしたらいいですか?

    A. 引きこもるにはさまざまな理由が考えられます。専門医の診断を受け、能力の評価に基づいた対応を考えましょう。
  • Q. 認知症になった本人は、自分が認知症だという自覚をもっていますか?

    A. もっています。自分はもの忘れをしないと頑なに言い張る人がありますが、これは、認知症の人のもの忘れは、「忘れている」のではなく「覚えていない」ために起こるからです。健康な人がもの忘れに気づくのは、人から指摘されて、「あっ、しまった!」と思い出すからです。アルツハイマー病などの場合、指摘されても、脳の中に記憶の痕跡がないので、忘れたというより、そんな話は聞いていないという感じをもちます。こうした認知症の方でも、「では、あなたの頭は今までと変わりないですか?」と質問すると、「頭が悪くなった」「バカになった」などと答える人がたくさんいます。細かく分析はできませんが、何かが頭の中で起こっているという自覚はあるのです。
  • Q. 認知症による問題行動は薬で対処できますか?

    A. 問題行動により、人により、状況によりさまざまです。医師と相談してください。
  • Q. 会話する能力が落ちてきました。効果的なリハビリテーションはありますか?

    A. 脳梗塞や脳出血に対する急性期の言語療法はありますが、認知症に伴う言語機能の低下を対象とした確立されたリハビリの方法はありません。
  • Q. 認知症になると日常生活でどんなことに困ることになりますか?

    A. 最初は、今まで難なくできていた料理などの家事に時間がかかるようになり、上手にできなくなります。外食が増えたり、総菜を買ってきたりすることが増えます。こういう時期に、葬儀など普段は経験しないようなイベントがあるとどうしてよいかわからなくなって一気に破綻する人もいます。もう少し進行すると、生き慣れた場所なのに道順に自信がなくなったり、仲間内の会話についていけない、テレビを観ていてストーリーについていけないといったことが重なり、外出が面倒になります。計算はできるのに、買い物のとき、合計金額と持っている硬貨や紙幣の額面との比較がスムースにできず、何を買うにも1万円札を出すというようなことも起こります。さらに進行すれば介護が必要になってきます。
  • Q. 意識障害とはどういうものですか?

    A. 認知症は、「意識障害がない状態で」精神機能の低下が起こることと定義されています。意識は、明るさと明晰さという二つの基準で評価します。たとえば、せん妄状態といわれる状態では、人の身体はしっかりと覚醒しているように見えますが、精神機能は夢のような状態で、普段は思いかけないような言動をし、良くなったあとも本人がその間のことをまったく記憶していないというようなことが起こります。認知症と意識障害はまったく別の次元の概念なのですが、認知症を引き起こすような脳の病気があると、意識障害を起こしやすくなるために、認知症の方はちょっとした環境の変化で意識の明晰さが低下しせん妄のような意識の障害を起こします。
  • Q. 生活のなかでどんなことが起こってきたら認知症を疑えばよいですか?

    A. 認知症のなかでもっとも一般的なアルツハイマー病では、もの忘れがひどくなる、特に注意していても思い出せないような忘れ方をするようになります。また、家事のような今まで簡単にできていたことに支障が起こる、銀行のキャッシュディスペンサーでお金を引き出すことができなくなる、電化機器のリモコン操作などが上手くできなくなるなどが起こってきます。周囲から見ていると、積極性がなくなり、引きこもりがちになったり、言葉が思い出しにくくなるなどの症状がみられることがあります。最初に起こってくる症状は、認知症の原因疾患によって異なります。
  • Q. 認知症の症状のなかで治るものはありますか?

    A. 認知症の症状は、脳の細胞が壊れてしまったために、その細胞が担っていた機能が失われてしまう中核症状と、中核症状の結果、外界の出来事を正しく認識できなくなり、これに、元々もっている性格や、その時その場の心理状況、生活環境などが重なり合って引き起こされる周辺症状とがあります。例えば記憶障害、見当識の障害、実行機能の障害などは中核症状なので治ることは期待できません。それに対して、興奮、暴力、幻覚、妄想などの症状は、周辺症状なので環境整備、対応の仕方の配慮、適切な薬物療法などでかなり改善できます。
  • Q. 認知症の「周辺症状」といわれるのは、どのような症状のことですか?

    A. 中核症状を来した結果、周囲の状況の理解が歪み、そのために生じたストレスが原因で、本人の元々の性格傾向、その時々の心理状況、環境の状況などが相互に作用しあって形成される症状です。いわゆる精神症状、問題行動と呼ばれるものです。例えば、大事にしまった財布が見つからなかったとします。記銘力障害という中核症状のために、自分がしまったという事実を忘れていますから、自分がしまい忘れたのではなく、誰かが盗ったのだと認識します。これが周囲の状況理解の歪みです。このとき、こうした外界認知障害がもとになって起こるのが、いわゆる物盗られ妄想です。周辺症状というのは、こうした妄想の他、幻覚、不穏、興奮、暴力、徘徊、不潔行為などさまざまな症状を指します。
  • Q. 認知症の「中核症状」といわれるのは、どのような症状のことですか?

    A. 脳の神経細胞が死んでしまったことによって、その神経細胞が担っていた機能が失われます。これが中核症状です。アルツハイマー病では、早いうちから海馬と呼ばれる部位にある神経細胞が死んでしまうことが知られています。海馬は新しい情報を記憶するために重要な細胞なので、海馬の細胞が死ねば新しいことは覚えられなくなります。これが記銘力障害という中核症状です。この他、覚えていたことを忘れていく記憶障害、見当識の障害、理解・判断力の障害、実行機能の障害などが中核症状です。

このQ&Aは、あくまでも一般的な参考用として掲載しています。個別具体的なケースについては、専門家などの助言を受けることをお勧めします。