困りごと・悩みごと 知りたいことQ&A

テーマ: 治療

  • Q. がんなどの手術が必要になった場合、施設に入居中でも対応してもらえますか?

    A. 緊急事態の場合、施設職員が家族の同意のもとに救急受診をサポートすることはありますが、家族が病院に連れていくのが原則です。
  • Q. 入居先の施設で生活習慣病に対する診療はしてもらえますか?

    A. 施設の顧問医が往診し、一般的な診療をしたり薬を処方したりはできます。しかし、施設は病院ではありませんから、薬を飲ませる以上のことはできません。
  • Q. 薬を使わずに認知症を治す方法はありますか?

    A. 認知機能の維持・改善を目的とした認知リハビリテーション、精神的な安定を図ってBPSD(周辺症状)を軽減する方法、回想法、音楽療法、芸術療法などがあります。これらを「非薬物療法」といいます。
  • Q. 非薬物療法を行っている病院を探しています。

    A. 介護施設などでは広く行われているものの、認知症の非薬物療法は医療保険の適応がなく、外来の保険診療でも非薬物療法を受けられる医療機関はほとんどありません。実験的な治療研究を行っている一部の大学病院やデイケアなどの場を利用している先進的な医療機関がいくつかある程度です。
  • Q. 会話する能力が落ちてきました。効果的なリハビリテーションはありますか?

    A. 脳梗塞や脳出血に対する急性期の言語療法はありますが、認知症に伴う言語機能の低下を対象とした確立されたリハビリの方法はありません。
  • Q. 認知症の進行をくい止めることはできますか?

    A. 認知症のうち、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症など、変性疾患とよばれる病気は徐々に細胞が死んでいく病気で、今のところその進行を止めることはできません。大きな梗塞や出血が原因となって急激に起こった脳血管性認知症の場合、梗塞や出血が再発しなければ進行が止まることもあります。しかし、多くの場合、脳血管性認知症でも徐々に進行します。これは脳の中に小さな梗塞が起こったり、動脈硬化のために脳の機能の低下が起こるためだと考えられます。アルコール症に伴う認知症など、脳を障害する原因がはっきりしている認知症では、原因を断てば認知症の進行が止まることもあります。
  • Q. 治療可能な認知症とはどういうものですか?

    A. 元々、認知症というのは、脳に器質的な障害が起こり、いったん発達した精神機能が広汎に非可逆的に障害された状態を指す医学用語でした。それが、1990年代に「treatable dementia」、つまり「治療可能な認知症」という概念が提唱され、必ずしも非可逆的な変化ではなくても認知症という言葉を使うようになりました。治療可能な認知症を引き起こす基礎疾患としては、①正常圧水頭症、②脳腫瘍、③硬膜下血腫、④甲状腺機能低下症、⑤低血糖、⑥慢性腎不全、⑦ビタミンの欠乏、⑧脱水、⑨アルコール症、⑩向精神薬・降圧剤・風邪薬・胃腸薬などの薬剤の不適切な使用、などがあげられます。
  • Q. 認知症は治ることのない病気ですか?

    A. 老年期の認知症の代表であるアルツハイマー病をはじめ、症状の固定してしまった脳血管性認知症、前頭側頭型認知症などは治ることはありません。急激に起こった脳梗塞や脳内出血の直後にみられる脳血管性認知症の症状は、最小の数か月はある程度治る可能性があります。これに対して、「治療可能な認知症」とよばれるものがあり、これは時期によってはかなり症状が消えることもあります。治療可能な認知症とは、甲状腺機能の障害、正常圧水頭症、薬物の影響による認知症などです。いずれにしても、心配なときはすぐに専門医の診断を受けることです。脳はデリケートな組織なので、放置すれば治るものも治らなくなります。
  • Q. 慢性硬膜下血腫とはどういう病気ですか?

    A. 脳は、外側から硬膜、くも膜、軟膜と呼ばれる3層の膜に包まれています。転倒などによって頭を打った時、本来、ほとんど隙間のない硬膜とくも膜の間にゆっくりと出血が起こることがあります。それが、徐々に大きくなって、脳を圧迫するようになると、意識障害、麻痺、認知機能の低下などの臨床症状が起こってきます。これが慢性硬膜下血腫です。発症が、頭部打撲後、2〜3か月を経過していることもあります。脳の中に血腫ができているわけではないので、比較的簡単な手術で血腫を除去することができ、適切な時期に手術が行われれば症状は消えます。アルツハイマー病などで脳の萎縮が進んでいる場合、頭蓋内に空間が大きく、血腫ができても臨床症状が起こらないこともあり、この場合は経過を見ます。CTで簡単に診断できます。
  • Q. 正常圧水頭症とはどういう病気ですか?

    A. 脳の中には、脳脊髄液と呼ばれる液体に満たされた脳室と呼ばれる空間があります。脳脊髄液は、一定のスピードで新しく作られ、同じスピードでくも膜顆粒と呼ばれる機関から吸収されることによって、脳室内は一定の圧に保たれ、その大きさも一定を保っています。正常圧水頭症は、高齢者において、くも膜顆粒からの脳脊髄液吸収に障害が起こることによって、脳室が拡大し脳実質を圧迫することによって生じます。自発性の低下、記銘力の低下など認知症症状が数ヶ月の間に急速に進行し、この間、歩行障害、尿失禁が起こってきます。適切な時期にシャント手術によって脳室内の脳脊髄液を排除すれば、臨床症状も回復します。治療成績を良くするためには、正確な診断を、早期に行うことが重要です。
  • Q. 認知症の症状のなかで治るものはありますか?

    A. 認知症の症状は、脳の細胞が壊れてしまったために、その細胞が担っていた機能が失われてしまう中核症状と、中核症状の結果、外界の出来事を正しく認識できなくなり、これに、元々もっている性格や、その時その場の心理状況、生活環境などが重なり合って引き起こされる周辺症状とがあります。例えば記憶障害、見当識の障害、実行機能の障害などは中核症状なので治ることは期待できません。それに対して、興奮、暴力、幻覚、妄想などの症状は、周辺症状なので環境整備、対応の仕方の配慮、適切な薬物療法などでかなり改善できます。
  • Q. 甲状腺機能低下症とはどういう病気ですか?

    A. 甲状腺ホルモンが不足すると、便秘、食欲低下、耐寒能力の低下や発汗の減少、体重増加、低血圧、徐脈、易疲労感、皮膚の乾燥や無欲様顔貌など、広汎な症状が起こります。これに伴って、精神活動の遅延化、注意の欠陥、知的な機能の低下などが起こることがあります。高齢者の場合、認知症の始まりやうつ病と間違えられることがしばしばあります。甲状腺機能は一般的な血液検査で簡単に診断でき、診断がつけば治療ができます。適切な時期に治療ができれば、甲状腺機能低下による認知症症状は回復可能です。甲状腺機能低下症による認知症は、「治療可能な認知症」の代表的な疾患の1つです。

このQ&Aは、あくまでも一般的な参考用として掲載しています。個別具体的なケースについては、専門家などの助言を受けることをお勧めします。