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テーマ: 制度・サービス

  • Q. 成年被後見人の自宅を売却したりする場合には、家庭裁判所の許可が必要だと聞きました。有料老人ホームに入居したために自宅に住んでいない成年被後見人の自宅を売却する際にも、家庭裁判所の許可は必要でしょうか?

    A. 成年被後見人の居住用不動産を処分する際には家庭裁判所の許可が必要です。その居住用不動産は、成年被告後見人が現在生活している自宅、以前自宅として住んでいた不動産および将来成年被後見人が居住用として利用する予定の不動産のことをいうとするのが実務の取扱いです。そして、有料老人ホームに入居した後は、二度とかつての自宅には戻らないと思われる場合であっても、自宅に戻る可能性がゼロであるとは言い切れないことから、以前自宅として住んでいた不動産はすべて居住用不動産として取り扱われています。したがって、たとえ有料老人ホームに入居した場合でも、かつて住んでいた不動産を売却する際には、家庭裁判所の許可が必要です。
  • Q. 認知症で成年被後見人である父は、自宅以外に不動産を持っています。成年後見人である兄が、父から賃借してそこに住むと言っています。このような場合、どうしたらよいでしょうか?

    A. このような場合には、賃料をいくらにすべきかなど、被後見人であるお父様と成年後見人であるお兄様の利益が対立することになるため、家庭裁判所において特別代理人を選任してもらい、この特別代理人が被後見人を代理して、その利益が相反する行為を行うものとされています。したがって、特別代理人とお兄様とが不動産の賃貸借契約を締結することになります。ただし、成年後見監督人が選任されている場合には、成年後見監督人が成年被後見人を代理しますので、特別代理人は選任されません。成年後見監督人がお兄様とその不動産の賃貸借契約を締結することになります。なお、特別代理人選任の申立ては、成年後見人のみならず、成年被後見人またはその親族その他の利害関係人も行うことが可能であり、さらに家庭裁判所が職権によって特別代理人を選任することもできると考えられています。
  • Q. 父は成年被後見人となっています。その場合でも遺言をすることはできますか?

    A. お父様のような成年被後見人の方も、一時的に判断能力を回復していると認められる場合には、医師2人以上に立ち会いの下、遺言をすることができます。その際、お父様が遺言をすることについて、医師には、判断できる状態に回復している旨を遺言書に付記してもらったうえで、署名捺印が必要となります。
  • Q. 認知症で成年被後見人である父と母が離婚しようとしています。父の代わりに成年後見人が離婚を決めることはできますか?

    A. 離婚のような身分行為については、本人自身の意思が尊重されるべきであり、本人のみが決定するものです。したがって、本人が、その行為の意味内容を理解できる意思能力がない場合において、成年後見人がこれらの身分行為を代理することはできません。逆に、本人がその行為の意味内容を理解できる意思能力を有している場合は、その身分行為は有効で、成年後見人の同意は不要です。
  • Q. 成年被後見人である認知症の人が、手術を受ける必要が出てきました。成年後見人に同意してもらうことで、手術は可能でしょうか?

    A. 医療行為を受けるには、原則として本人の同意(たとえば手術の承諾)が必要となります。ただし、成年被後見人となっている認知症の人の場合、医療行為について理解が難しく、同意する能力が十分ではない場合が多いでしょう。では、成年後見人が本人に代わって同意できるかといえば、病院などと医療を受ける契約を結ぶ権限はあるものの、手術などの具体的な医療行為についての同意権はないと解されています。ご家族の方と医療機関とでよく話し合っていただく必要があるでしょう。
  • Q. 成年後見人には、報酬は支払われますか? 支払われるとしたら、それはどこから支払われるのですか?

    A. 成年後見人に対しては報酬が支払われます。成年後見人が報酬の支払いを受けるためには、まず、家庭裁判所に対して、報酬を付与するよう審判を申し立てる必要があります。家庭裁判所は、後見人と本人の資力、後見人と本人の間柄、後見の事務の難易や在職期間、後見人が管理する財産の額などを考慮して報酬額を決定します。そして、この家庭裁判所の審判に基づいて、本人(成年被後見人)の財産から報酬が支払われることになります。
  • Q. 認知症の父の成年後見人となりました。成年後見の事務を行うために必要な費用は、どこから出すのですか?

    A. 成年後見人が後見の事務を行うために必要な費用は、被後見人の財産の中から支出することができます。したがって、たとえば、お父様が入っている介護施設に行くために、成年後見人であるあなたが必要とする交通費は、お父様の財産の中から支払うことができます。
  • Q. 成年後見を申し立てるためには、費用がかかりますか? その費用は誰が負担するのでしょうか?

    A. 成年後見の申立ての費用としては、申立て手数料・収入印紙800円、登記費用・登記印紙4000円、送達費用・郵便切手4300円を家庭裁判所に納めることになります。また、判断能力について、通常は鑑定を行うことになるため、5〜10万円の鑑定費用を予め納める必要があります。これらの手続費用は、原則として、被後見人となる本人が負担するのではなく、申立人が負担することになっています。ただし、場合によっては家庭裁判所が本人に費用負担を命ずることあるので、家庭裁判所にその旨を上申し、本人負担の決定が出されれば、申立人が一旦負担した費用を本人から返してもらうことができます。なお、これらの費用については裁判所によって異なったり改定されることもありますので、申立ての際には、家庭裁判所に確認したほうがよいでしょう。
  • Q. 認知症の父の成年後見人が、父の財産を使い込んでいることを知りました。どう対処したらいいですか?

    A. 成年後見人には、善管注意義務、身上監護義務、身上配慮義務といった義務があり、これらを果たしておらず、むしろ本人に損害を与えているということであれば、その責任を追及することになります。その方法としては、成年後見監督人を選任する、家庭裁判所に成年後見人の事務の監督を促す、成年後見人を解任するなどの方法が考えられます。なお、財産を使い込まれた損害については、その成年後見人に対して賠償請求をすることができます。
  • Q. 兄が母の成年後見人となるにあたり、兄が勝手に母の財産を使いこんだりしないか心配です。誰かに兄を監督してもらうことはできますか?

    A. 家庭裁判所は成年後見人を監督する職務を負っていますが、現実には家庭裁判所が十分に成年後見人を監督することができない事態も考えられるため、成年後見監督人という制度が設けられています。成年後見監督人は、成年後見人が任務を怠ったり、不正な行為を行わないように監督をします。また、成年後見人と被後見人との利益が相反する行為については、成年後見監督人が被後見人を代理します。成年後見監督人は必ず選任されるものではなく、通常は親族などからの申立てがある場合に選任されますが、申立てがなくても、家庭裁判所が職権で選任することもあります。
  • Q. 叔父の後見開始について審判の申立てを行う予定ですが、成年後見人にはどのような人が選ばれるのかが心配です。どのような人が選ばれるのでしょうか?

    A. 成年後見人は、家庭裁判所が選任します。家庭裁判所が成年後見人を選任するにあたっては、叔父様の療養看護や財産管理をするのにふさわしい人を選任できるように、叔父さんの心身の状態や生活状況、成年後見人となる人の職業や経歴、叔父さんとの利害関係の有無その他一切の事情を考慮します。成年後見の申立てにあたって、申立人であるあなたが、成年後見人として適当と考える人を推薦することは可能です。ただ、成年後見人は家庭裁判所が職権で選任するものですので、あなたが推薦した人が必ずしも成年後見人となるとはかぎらず、家庭裁判所が別の人を選んだとしても不服申し立てをすることはできません。なお、未成年者、破産者など、法が定める一定の者は成年後見人になることができません。
  • Q. 認知症の母について成年後見制度を利用しようと考えています。成年被後見人になると、戸籍に記載されてしまうのでしょうか?

    A. 戸籍に記載されないとすると、成年被後見人であることは、どうやって知ることができますか? かつては、現在の後見などに相当する禁治産宣告や準禁治産宣告の審判が行われると、本人の戸籍に記載されていました。しかし、プライバシー保護の観点から、戸籍への記載を廃止し、代わって後見登記制度が創設されました。したがって、成年被後見人になっても、戸籍に記載されることはありません。後見開始の審判を受けると、登記所に備える登記ファイルに所定の登記事項が記録されますが、この登記記録についての登記事項証明書などを請求できるのは、本人、成年後見人など、一定の親族などに限定されています。
  • Q. 兄が、認知症の父の預金を勝手に引き出し、父名義の不動産も売却しようとしています。兄の行為を止めさせるにはどうしたらよいですか?

    A. 家庭裁判所に後見開始の審判を申立て、成年後見人の選任をしてもらい、財産を管理してもらうという方法が考えられます。成年後見人が選任されると、お兄さんが勝手に預金を引き出したり、不動産を処分したりすることはできなくなります。ただし、後見開始の審判は、通常、本人の判断能力についての鑑定や本人の状況についての調査を経て行われるため、ある程度の時間がかかります。その前にお父様の不動産が売却されてしまうおそれが強いということであれば、家庭裁判所に対して審判前の段階で財産を保全するための処分を申し立てるという方法もありますので、専門家にご相談ください。
  • Q. 任意後見契約を結んだだけでは、任意後見はすぐには始まらないとのことですが、任意後見契約の効力はいつからどうやって始まるのですか?

    A. 任意後見契約の効力は、任意後見監督人が、家庭裁判所の審判によって選任された後、その審判が確定したときから効力が発生します。この任意後見人の選任の申立ては、本人の判断能力が不十分となった場合に、本人、配偶者、4親等内の親族または任意後見受任者が家庭裁判所に対して行うことができます。
  • Q. 高齢になってきて将来が心配です。今から将来に備えて利用できる制度はありますか?

    A. 将来、認知症などのために判断能力がなくなったときに備えて、任意後見制度を利用することが考えられます。任意後見制度とは、任意後見契約によって、判断能力が低下した場合の自分の財産などに関する事務処理をあらかじめ第三者に委任しておくことができる制度です。判断能力があるうちに、本人が自ら後見人を選ぶだけでなく、事務処理の範囲や方法についても自分で決めておくことができるため、より本人の意思を尊重することができます。ただし、あくまで現時点で本人の判断能力があることが前提ですので、認知症が進んだ後は法定の成年後見制度の利用を考慮すべきです。
  • Q. 高齢になってきたので、財産の管理に自信がもてなくなってきました。何かよい方法はありますか?

    A. 財産管理契約を締結する方法があります。これは、民法の委任契約を利用し、本人が委任者に、弁護士などが受任者になり、財産管理委任契約を締結する財産管理の方法です。任意の契約であることから、委任契約については、契約当事者の合意により自由に設定することができます。委任契約ですので、成年後見制度とは異なり、本人の判断能力に問題がないケースに利用することができるものです。任意後見契約とセットで利用する場合にも多くみられます。
  • Q. 認知症になった母を自宅で介護してきました。母が死亡した場合、相続において私の寄与分はどの程度認められますか?

    A. 寄与分は共同相続人間の協議で定めることを原則としていますので、まずは共同相続人間でよく話し合ってください。共同相続人間で合意できないときは、家庭裁判所に寄与分を定める審判の申立てを行うことになりますが、その前提として遺産分割の審判の申立てをする必要があります。認知症の症状が出た後の療養看護については、親族の扶養義務を超える特別の寄与と認められると考えられますので、付添婦を雇用した場合に要したであろう料金を算定して、その金額と遺産の総体などを考慮して、寄与分が算出されることになると思われます。
  • Q. 父の死亡後、遺言書を見つけたました。どうしたらいいですか?

    A. 遺言書の検認という手続きをする必要があります。検認とは、相続人に対し遺言の存在や内容を知らせ、遺言書の形状・状態・日付・署名など、遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。封印のある遺言を見つけたときは、開封せずに検認の申立てをしてください。遺言書の保管者や発見者が遺言書の提出を怠ったたり、検認をしないで遺言を執行したり、あるいは封印のある遺言書を家庭裁判所以外で開封した場合には、5万円以下の過料に処せられることになっています。
  • Q. 認知症の父が、子どもに相談もなく勝手に養子縁組をしました。これは有効ですか?

    A. 養子縁組が無効かどうかは認知症の程度などによります。単にお父様が認知症というだけで養子縁組が無効となるわけではありませんが、養子縁組の意味を理解する能力すら欠いていた場合には、養子縁組は無効となります。とても養子縁組の意思があったとは思えないという場合には、その旨の診断書などを記載してもらうとよいと思います。ただし、この判断は実際には非常に困難であり、医師の見解が常に裁判などの結論と一致するとはかぎりません。
  • Q. 夫が認知症です。認知症を理由として離婚はできますか?

    A. 民法では、離婚できる原因として、不貞行為などの他に、「強度の精神病にかかり回復の見込みがないこと」「その他婚姻を継続し難い重大な事由のあるとき」などが定められています。認知症が精神病といえるかは問題となりえるので、基本的には「その他婚姻を継続し難い重大な事由のあるとき」に該当するかどうかという判断になるものと理解されます。ただし、認知症の場合には、認知症の方が今後生活していける目途が立っているかどうかも、離婚が認められるうえで大きなポイントとなりますので、簡単に離婚できるわけではありません。たとえば、成年後見人をつけて、夫の財産の管理や生活の維持などの目途をたてることなども考える必要があります。いずれにしても、離婚を認めてもらうのは、健常者の場合よりはかなり難しいと考えたほうがよいと思います。

このQ&Aは、あくまでも一般的な参考用として掲載しています。個別具体的なケースについては、専門家などの助言を受けることをお勧めします。