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2010年6月の記事一覧

パーソン・センタード・ケア:高齢者の人間性と自律性を支持する介護

Person Centered Care 1
近年、医療や長期介護の現場では、今までの長期介護の概念を根本から変えるようなパーソン・センタード・ケア(個人の意思を尊重したケア)という新しい概念が急速に取り入れられています。これは従来の「任務や作業優先のケア」から離れ、「思いやりのこもった、人と人との関係を重要視したケア」の提供を目標にする、まさに「カルチャーチェンジ」と言えるでしょう。

パーソン・センタード・ケアを実践するには、人間性を尊重すること、相手を理解すること、自律と選択を最大限に生かすこと、快適さを追及すること、スタッフと居住者の関係を築くこと、そしてこれらを支援する環境が必要になります。

そして、居住者とスタッフが一緒になって、居住者の意思や希望を取り入れ、従来の生活のパターンをできるだけ崩さないようなケアプランを作成します。たとえば、入浴は施設によって決められた時間や曜日ではなく、居住者が望むときにいつでも入れるように計画されます。また、食事は、業務の都合に合わせて全員が一斉に食堂で摂るのではなく、好きな時間に自分の部屋で済ませることもできるのです。

この様に個人の意思や希望を重視したケアを長期介護施設で提供するのは、決して容易なことではありません。また、居住者に介護を直接提供するスタッフだけが理解していても、首尾よく実践するのは困難です。パーソン・センタード・ケアを最も効果的に取り入れるには、各階級・部署の職員全員がそれをただ単に一つのプロジェクトとしてではなく、組織使命の核心として受け入れ、職務内容や方針と手順などはそれに基づいて作成されるべきです。

Person Centered Care 2では、敬老ではパーソン・センタード・ケアはどのように取り入れられているのでしょうか?前回は、敬老の創立者たちのビジョンについて書かせていただきましたが、彼らは、1961年から、「高齢者を敬う」という社名に表されているように、居住者の文化背景を考慮し、継続したケアを提供するコンセプトを確立してきました。そこには、日本的な思いやり、献身、そして奉仕の精神が含まれています。また、多くの方々が指摘するように「文化背景を考慮する」とは、「こうしてほしいと居住者が口にする前にそのニーズに気付いてあげること」、あるいは、「空気を読む」とも表現されます。

50年経った今、このパーソン・センタード・ケアを取り入れることにより、敬老が長年守り、実践してきたものがますます洗練され、敬老という言葉の意味と長期介護における最善のケアを合わせて考えると、「個人を敬う介護の環境を創り出す」というのが現在における目標となります。

その一例として、もっと家庭的な雰囲気を感じていただけるよう、敬老施設の改築を進めてきました。そのような環境の中に暮らすことで、居住者はもっともっと癒され、満足できるのだと実感しています。また、敬老の施設において生活の中心である食事の時間をより楽しく過ごしていただくためには、どんな食事をどのように提供すればよいのかということをより深く考えています。もっと食事の選択肢を増やし、もっと楽しく食事をしていただける環境を提供することは、小さなことかもしれませんが、重要な課題です。
また、居住者、家族、そして職員が、お互いのニーズや希望などをより理解できるようにするために、居住者のケアに常に同じ職員を担当させるという試みも始めました。これによってケアがより一層改善され、居住者や家族の方々により満足していただけることが分かりました。

Person Centered Care 3パーソン・センタード・ケアの実践にもう一つ忘れてはならない要素があります。それはボランティアです。敬老には800人以上のボランティアが登録されており、お散歩や陶芸、体操、お習字など、各施設で提供されているレクリエーションはボランティアの協力なしでは決して成り立ちません。

また、前回紹介した敬老ヘルシー・エイジング研究機関では、訓練を受けたボランティアを介して、居住者だけに限らず、コミュニティーに住む高齢者のために、リサーチに基づき、その効果が認められた健康促進プログラムなどを、提供しています。

このように、敬老ボランティアは、居住者およびコミュニティーに住む高齢者の生活の質を高め、その家族の方々と良き関係を築いていくために重要な働きをしています。

次回はアメリカのボランティア事情や、敬老ボランティアがどのようにパーソン・センタード・ケアに貢献しているかをもっと詳しくご紹介したいと思います。

2010年6月30日 | 海外ボランティア事例 | by 敬老 Kusano Kanako | パーマリンク

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