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2010年3月の記事一覧

ブンネ法は、人間の生理的な発達を促進する

身体は、動きを通して音楽に応える(1 / 3)


音楽リーダーあるいは誰かがブンネ楽器のスウィングギターをリズミカルに演奏すると、参加者は当然のように合わせて歌います。人が唄う時は単に唄や言語器官が活動するのではなく、実は全身が活性化されます。歌や音楽に合わせて、ある人は上半身を前後に揺らし、またある人はリズムに合わせて足を振るでしょう。他にも頭を前後や横に振ったり、他にも手拍子をしたり指で椅子の背や机の上でリズムを取る人もいるかもしれません。

参加者自身が楽器を演奏する際にも、多かれ少なかれ音楽のリズムに合わせて体を動かします。
多かれ少なかれとは、身体の動きが音楽の流れに連動するという意味です。参加者が静かに座っているように見えても、動きはあります。私たちの体は、目にははっきりと見えないとしても、筋肉のリズムカルな動きが計測できるほどの細微運動的な動きをします。私たちが講座を受講する場合には、往々にして「講師に合わせて無言で喋る」というような傾向もあります。口腔器官(舌、唇、顎など)は、自分自身で講師の言葉をなぞるように、その言葉を口で追うわけです。
私たちの神経組織は、音楽を聴いたり感じたりするとすぐに身体で反応する能力を持っています。神経組織は、私たちが考えたり意識的に決定するよりも前に、リズムに合わせて動くように反応します。ですから、例えばスウィングギターの演奏や歌は、高齢者が自然に体を動かすことに繋がります。普段座ったままや動きの少ないことの多い、また高齢化に伴う病気を持つ人にとって、それは非常に健康的なことです。また、座ったままや沈み込んだままということも、無気力と関連性があります。そして運動、活動やバイタリティというものも、共に関連しているものです。

音楽上の言葉で言えば、身体は音楽の脈やリズム、また脈のテンポに反応し、またどれだけ強いかという音の強度にも反応すると言われています。音楽の速さや遅さ、また音の強さや弱さの変化を、私たちは音楽のダイナミックと呼びます。
どれだけ速いか遅いかという音楽的な脈のテンポは、私たちの心鼓動の頻度、つまり脈と直接関わりがあります。私たちが寝ている時や目覚めたばかりの時の脈拍は、通常1秒に55から70の間と言われます。それと同じようなテンポ(55~70 bpm)で音楽が演奏されると、それによって気持ちが落ち着き、緊張が解け安心するという効果を生み出します。音楽が、私たちが覚醒して活動的な時と同じテンポ(約80~100 bpm)の場合は、行っている行動に流れが出やすくなり活動的な状態を保つことが出来ます。昔の船の漕ぎ手がリズムを取りながら漕いだり、地面に杭を唄いながら打つ職人のようなものです。もし音楽のテンポが120から140 bpmに上がると、跳んだり体を動かしたり、踊りだしたくなります。 
これは、多動的な人やストレスを感じたり攻撃的な人に対し、その人のテンポより遅いテンポの音楽を歌ったり演奏をすることで、その人たちを穏やかにさせることも出来るということです。
またそれとは逆に、無気力で覚醒感もない状態でただボーっとしている人の活動レベルを向上し、活動や行動に導いていくことも出来ます。
どうやら、私たち人間にはその人なりの生きるリズムとも言える、行動するにあたって「お気に入りのテンポ」というものがあるようです。それは、特にある種の病状や例えば自閉症のような機能低下の状況に明確に示されています。ですから、その人のお気に入りのテンポで音楽を演奏することによって、コンタクトを取ることが容易になります。相手の注目を獲得してコンタクトを確立するということは、私たちが人と関わっていくうえで前提となるものですし、コミュニケーションの向上というものも、そこから繋がっていくものです。
そして、音楽はそこで重要な役割を果たします。

ブンネ楽器とブンネ法は、職員でも家族でも、あるいは高齢者でも認知症の方でも文字通り誰でも簡単に楽器の演奏が出来て、またそれが動作へと誘っていくのです!
そうなると、もはや音楽による健康的な身体の運動をするためにプロの演奏家や音楽療法士に頼ることも必要不可欠ではなくなります。ブンネ法の5つの場面のひとつでは、特に運動の曲や車椅子の体操などにより、音楽と動作の関係に特化して関わっています。それがどのようになっているかは、次回の項でお話したいと思います。

2010年3月30日 | | by Joakim | パーマリンク

「認知症の人と家族に対するアートワーク」活動報告

鑑賞たけのこ.jpgNPO法人認知症の人とみんなのサポートセンターについて

当法人は、認知症の人と家族が介護保険制度では満たされないニーズを明らかにし、支援のモデルを試行、どの地域でも実施できるものとして確立していくための支援を通して認知症についての正しい知識の普及を行い、誰もが認知症になっても安心して暮らせる地域づくりの実現に寄与することを目的に活動しています。その事業の中で、介護サービスにつながりにくい若年認知症の人とその家族の支援の一つとして、設立当初の2007年からアートワークの活動を行っています。アートワークの成果として、活動への参加を機に参加者がガイドヘルパーやデイサービスを利用されるようになりました。また、アートワークを通して見出せた参加者個々に応じたサポート方法や、参加の中で聞き取れた本人の思いをご家族や利用されるデイサービスなどに情報提供し、ケアに活せるよう支援しています。


アートワークとは

アートワークは認知症の人が自己表現するための手段の一つです。人は誰でも自分を表現し、理解してもらいたいという欲求があります。認知症の人は自分の思いを言葉で表すことが少しずつ難しくなってきます。しかし少しのサポートで自己表現することができるのです。アートワークは、認知症の人が絵画的表現を用いた創作活動を通して様々な思いを語る場であり、認知症の人が持つ可能性を引き出す場でもあります。アートワークは認知症の人が作業しやすい様々な絵画的表現を用い、サポーターが個々に合わせたサポートを行いながら作品づくりを進めます。主に、季節を味わうためのものをテーマに制作します。制作の前後は、お茶を飲みながらその日のテーマにまつわる話や、その他、一人一人が感じる思いを話します。また、サポートの中から生活支援につながるヒントを見つけ出します。

富士山.jpg

活動の内容

 参加者は2名~4名程度。50代~60代の方が中心で、サポーターは3名。(作業療法士、看護師、介護福祉士)活動は第1、第3木曜日に実施し、4回を1クールとして当法人の事務所で行っています。参加者個々の目的を明確にし、目標を立てて支援しています。アートワークの場は参加者にとって支援のきっかけづくりの場でもあるため目標が達成されれば終了となります。作品はその時々の記録として残すため、またご家族と振り返って見られるようファイリングしていきます。さらに、その成果が社会参加につながるよう、作品をポストカードやカレンダーにして販売しています。この商品化の過程でも参加者の意見を基にご家族も含め皆で協力し、進めています。

2010年3月16日 | その他 | by 沖田裕子 | パーマリンク

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